SNSの成果はKPIの大小ではなく、目的(WHY)から逆算した理想状態を実現できたかで決まります。
このコンテンツは、多数のBtoC大手企業のSNS戦略設計を行ってきたNAVICUSが、SNS戦略の基本的な設計手順を整理した実務ガイドです。WHY→WHO→WHAT/WHERE→HOWの順に、ターゲット定義、プラットフォーム役割、段階運用、KPIの置き方までを具体化しています。
記事末には、本コラムの内容に沿って、そのまま使える戦略策定シートを無料でダウンロードできるフォームを用意していますので、ぜひご活用ください。
SNS戦略設計の要点まとめ
- 目的の明確化:Missionや企業理念から「なぜ、商品・サービスを届けたいのか」を明文化し、戦略や戦術の土台にする。
- 成果の定義:目的から導き出した望ましいユーザー行動とSNSの理想状態で成果を定義し、KPIは従属させる。
- ターゲット設定:属性×関係性(既存/候補 × 感情)でセグメントし、優先度を決める。
- プラットフォーム選定:ユーザーの購買行動に各SNSの得意領域を対応づけ、投稿戦術を設計する。
- 目標設定:ユーザーとの関係性のフェーズをSTEP1 認知→STEP2 深化→STEP3 定着で設計し、運用体制や投稿企画の計画を立てる。
- KPI設計:目的に沿ったKPI項目を選定し、過去3〜6か月実績から目標値として設計する。
SNS戦略を手順に沿って設計できる戦略策定シートをご用意しています。
SNS戦略設計の手順
1.戦略設計の起点 —「目的(WHY)」からはじめる
SNSの運用は、投稿頻度やフォロワー数の議論から入りがちです。しかし、実際に成果を左右するのは出発点の置き方です。
最初に確認すべきは「目的(WHY)からはじめる」ということです。企業のMissionや企業理念を起点に、商品・サービスが社会にもたらす価値を言語化し、「なぜ、商品・サービスを届けたいのか」を明確にすること。これが以降の設計(ターゲット・戦略・戦術)すべての土台になります。
2.成果の定義 — 理想状態を最初に描く
Missionや企業理念を起点に目的が明確になったら、SNSにおける成果を定義します。
ここでも大切なのは、最初からKPIを設計しようとすることではなく、エンドユーザーにどのようなアクションをしてほしいかを描き、理想の状態を定めることです。
ユーザーに期待するアクション例
- 知る/興味を持つ
- 比較/検討する
- 選ぶ/購入する
- 想起する/肯定する
- 勧める/伝える
SNSの理想の状態例
- 正しい情報が配信されている
- 情報が広まっている
- 好意的なクチコミが多く発生している
- 自分ごと化されている
このように、ユーザーに期待するアクションと、それによって実現される「理想状態」を定めることが、「成果」の定義となります。

3.ターゲット(WHO)設定 ― 属性と関係性でセグメントする
ここまででSNS運用の目的が整理できました。続いて、ターゲットを具体化します。
ターゲット設定にあたっては、年齢や性別といった属性だけでなく、商品・サービスをすでに利用したことがある既存ユーザーなのか、それとも、これから利用して欲しいユーザー候補なのか、また、商品・サービスに対してポジティブなイメージを持っているのか、それとも、ネガティブな印象を持っているのかなどの関係性にも着目してセグメント化することが大切です。
| カテゴリ | 属性例 |
|---|---|
| 基本属性 | 年齢/性別/職業/世帯構成/住まい(地域) |
| 生活属性 | 趣味・興味関心/ライフスタイル/価値観/世帯年収(可処分所得) |
| 関係性 | 既存ユーザー/ユーザー候補 |
| 商品・サービスへの感情 | ポジティブ/フラット/ネガティブ |
上記のような属性の掛け合わせによってセグメント化した上で、どのセグメントから優先してアプローチしていくかを決めていくことが、ターゲット設定において重要となります。
4.SNSプラットフォーム(WHERE)選定 ― 購買行動と各SNSの得意領域を対応づける
X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、YouTube、LINEといった各SNSプラットフォームは、それぞれ独自の特徴を持つため、ユーザーのどのような購買行動に効果を発揮するかが異なります。
| SNS | 特徴 |
|---|---|
| X | 情報の拡散力が抜群。 新規層の獲得に最適。 |
| ビジュアルをメインに活用し、ブランドメッセージを伝えファン化に繋げやすい。 情報をストックしていくことも得意としている。 | |
| TikTok | 情報の拡散性×Z世代に人気のツール。 ファン化は難しいがリーチ獲得に効果的。 |
| YouTube | 長尺動画の視聴者が中心だったが、近年ショート動画が伸びている。 ガジェット解説動画も多く、視聴者・発信者ともにカメラユーザーが一定集まっているSNS。 |
| LINE | 主に個人のコミュニケーションツールとして使用されているSNS。 企業からの情報は クーポンなどお得・メリットを重視する傾向が強い。 |
これらの特徴を踏まえたうえで、ここまでに設計したSNS運用の目的や理想とする成果、ターゲットに合わせてSNSプラットフォームの選定を行います。
ユーザーの購買行動モデルである、認知→興味・関心→比較・検討→購入→リピート→推奨の各フェーズに合わせて、SNSごとの得意分野に合わせて使い分けをすることが重要になります。

ターゲット設定やプラットフォーム選定などの整理ができる戦略策定シートをご用意しています。
5.投稿戦術(WHAT)設計 ― プラットフォームの特徴に合わせた投稿
プラットフォームが選定できたら、それぞれのプラットフォームの特徴を踏まえて、SNSを理想の状態とするための具体的な方法を設計していきます。
この時、「2.成果の定義」で設定した、ユーザーに期待するアクションをセットで考えることが重要です。
【プラットフォームの特徴に合わせた投稿制作例】
| SNS | 活かす特徴 | 投稿施策 |
|---|---|---|
| X | 高い拡散力と タイムリーさ | ・ライトな情報提供 ・商品説明はせず、Xユーザーが反応したくなる投稿 ・Xユーザーが楽しめるキャンペーン |
| 視認性の高い情報カタログと コミュニケーション | ・デザインや機能を視覚的に伝える ・ユーザー投稿のシェア、コメントへの対応 | |
| YouTube | 詳細な解説 長尺・ショート動画 | ・理解をさらに深める情報 ・開発秘話や商品の具体的な操作方法 ・お役立ちノウハウ情報 |
6.投稿計画(HOW)策定 ― 情報のカテゴリーを整理し発信するプラットフォームを決める
投稿にあたってどのSNSプラットフォームでどのような投稿をしていくのかがおよそ設計できたら、具体的にどのような情報をどのようなステップで発信していくかを考えます。
まずは、発信したい情報のカテゴリー整理を行います。
SNSで発信する情報のカテゴリー例
- ニュース
- 商品情報
- お知らせ
- アクション誘導
- お役立ち情報
- キャンペーン情報
そしてこれらのカテゴリーで整理した情報を、どの情報がどのプラットフォームにあっているかをしっかり考えて決めていきます。ここで、前述のプラットフォームの特徴に合わせて検討した投稿戦術がベースになります。
この時、初期段階でテキストとクリエイティブの雛形イメージを作成し共有しておくと、トンマナの方向性が視覚的にわかり、投稿の制作と承認のスピードが上がります。
7.目標設定 ― ユーザーとの関係性のフェーズに合わせて段階的に設計する(HOW)
投稿内容の計画が決まったら、具体的な目標設定を行います。
この時、SNSを通じたユーザーとの関係性が、そのアカウントにおいて今どのフェーズにあり、段階的にどのように関係性を深めていくかを考えて設計していく必要があります。
例えば、STEP1:認知獲得・興味関心喚起 → STEP2:興味関心の深化・スケールUP → STEP3:既存ファンの定着という段階構成が考えられますので、それぞれの段階に合わせて、体制・企画・KPI・キャンペーン設計を計画的に逆算で設計していくことが必要です。

8.KPI設計 ― ユーザーとの関係性の観点でアカウントのフェーズを設計する(HOW)
最後にいよいよKPI設計となります。
SNSにおけるKPIには様々な項目がありますが、KPIは目的に沿った項目を選ぶことが重要になります。
| 項目 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| インプレッション数 (リーチ数) | 1投稿あたりの平均値(中央値) キャンペーン投稿を含む・含まない | 認知獲得 |
| エンゲージメント数・率 | アカウントのエンゲージメント数 インプレッション数に対する エンゲージメント率 | 興味関心喚起・深化 既存ファンの定着 |
| フォロワー数 (登録・友だち数) | フォロワー数の推移 フォロワー増減数・率 | 認知獲得・スケールUP |
| 遷移数 | 添付URLへの遷移数 (URLクリック数) | 興味関心喚起、深化 購買(CV)貢献度 |
各KPI項目の具体的な数値目標の設定は、過去のデータ及び事業として達成すべき規模、競合他社との比較などから算出しましょう。
具体的には、過去データは直近半年のKPI数値の推移を現状の実力値とし、事業として達成すべき規模の数値や競合アカウントよりも低い場合にはその数値との乖離から目指すべき数値を設定します。この時、過去の参照期間においてキャンペーンや広告などの上振れ要素がある施策を実施している場合には、その分の数値変動を考慮して目標設定を行う必要があります。
最後に
本コラムでは、目的を起点に、理想状態を定め、ターゲットとプラットフォームの役割を揃え、段階ごとに運用とKPIを整えるという、SNS戦略の基本的な手順を説明しました。
このコラムでお伝えしたSNS戦略設計の手順を、実際に自社のケースで使っていただける「今日から使える!戦略策定シート」をご用意しております。
ご希望の方は以下のフォームに必要事項を入力の上ダウンロードしてご活用ください!
よくある質問(FAQ)
Q1|なぜKPIからではなく「目的」から始めるのですか?
A|KPIは成果の達成度を測る指標です。先に「企業のMission、パーパスに由来した本施策を行うべき目的」と「SNS上で目指すべき姿、理想状態(正しい情報/拡散/好意的クチコミ/自分ごと化 など)」を定義し、その後でKPIを従属させると、指標の目的化(やることが目的になる状態)を防ぎ、事業貢献するSNS運用を実行できます。
Q2|ターゲットはどのように決めればよいですか?
A|属性(年齢・職業・地域 等)に、関係性(既存ユーザー/候補)と感情(ポジ/フラット/ネガ)を掛け合わせてセグメントを作り、優先度を明記します。たとえば1年後、どんな人たちにどのように商品やサービスを語ってほしいかなどを言語化すると投稿内容と配信先が決めやすくなります。
Q3|プラットフォームはどう選び分けますか?
A|購買行動の段階(認知→理解・検討→購入→推奨)に、各SNSの得意分野を対応付けます。例:X=拡散、Instagram=カタログ化と対話、YouTube=理解深化、TikTok=新規リーチ、LINE=既存接点の強化。
Q4|投稿計画は何から着手しますか?
A|まず情報カテゴリ(ニュース/商品情報/お知らせ/アクション誘導/お役立ち/キャンペーン)を整理し、配信先SNSをマッピングします。初期にテキストとクリエイティブの雛形を共有し、トンマナを固定します。
Q5|KPIの目標値はどう設定しますか?
A|目的に沿った指標(インプレッション/リーチ、エンゲージメント、フォロワー、遷移)を選び、過去3〜6か月の実績(中央値など)から現実的な目標値を置きます。キャンペーンや広告の有無は別途補正します。
SNS戦略設計チェックリスト
A. WHY/目的定義
□ Missionを起点に「なぜ、商品・サービスを届けたいのか」を1文で明文化した
□ ユーザーに期待する行動リスト(知る→興味→比較→選ぶ→想起→勧める)を作成した
B. 成果=理想状態
□ 正しい情報/拡散/コミュニティ/自分ごと化を文章で固定した
□ KPIは理想状態の達成度を測る指標であることを明記した
C. WHO(ターゲット)
□ 属性(年齢・性別・職業・地域・世帯構成 等)を整理した
□ 関係性(既存/候補)と感情(ポジ/フラット/ネガ)でセグメントした
□ 着手する優先セグメントを決めた
D. WHERE/WHAT(プラットフォーム×購買行動)
□ フェーズ(認知→興味→比較→購入→リピート→推奨)にSNSの役割を対応付けた
□ 役割例:X=拡散/Instagram=カタログ化・対話/YouTube=理解深化/TikTok=新規リーチ/LINE=既存接点
E. WHAT(投稿戦術)
□ カテゴリ(ニュース/商品情報/お知らせ/アクション誘導/お役立ち/キャンペーン)を確定した
□ カテゴリごとの配信先SNSをマッピングした
□ テキスト&クリエイティブ雛形を作り、関係者に共有した
F. HOW(段階運用)
□ STEP1 認知・関心/STEP2 深化・スケールUP/STEP3 既存定着を設定した
□ 各STEPに体制・企画・KPI・キャンペーンを割り当てた
G. KPI設計
□ 主要KPI(インプレッション/リーチ、エンゲージメント、フォロワー、遷移)を選定した
□ 過去3〜6か月実績(中央値など)から目標値を設定した
□ 目標設定時にキャンペーン/広告の有無で補正した
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