2026年現在、生成AIの普及によってWeb上のコンテンツは爆発的に増加しています。SNSのタイムラインも同様に、企業からの発信で溢れかえっている状態です。そのなかで、多くの大企業・消費財メーカーが「SNSを運用しているが、思うような成果につながらない」という壁に直面しています。

実際、NAVICUSが2026年2月に公表した調査結果では、SNSを運用している消費財メーカーの3社に1社以上が「期待した成果を挙げられていない」と回答しています。多くの企業が、投稿を増やし、キャンペーンを実施しても、成果につながらないという壁に直面しているのです。

一方で、別の調査では継続購買ユーザーの約3人に1人が、すでにブランドの公式SNSアカウントをフォローしているという実態もわかっています。ここで注目したいのは、「フォローする土台」自体は、すでに一定数存在しているという点です。つまり、成果が出ない原因は「SNSという手段そのもの」にあるのではなく、フォローしてくれた人をどう扱うか、その設計にあるといえます。

本ページでは、この「成果の壁」と「ファンの希望」のギャップがなぜ生まれるのか、そしてそれをどう埋めていくのかを、投稿設計・キャンペーン設計・日々の運用という3つの観点から解説します。

本コラムの要点は、次の6つです。

  • SNSを運用している消費財メーカーの3社に1社以上(35.3%)が「期待した成果を挙げられていない」と回答している
  • 一方で、継続購買ユーザーの約3人に1人(30.1%)は、すでにブランドの公式SNSをフォローしている
  • 成果が出ない原因は「SNSという手段」ではなく、フォロワーとの関係をどう設計するかにある
  • 投稿は「期待感を高める投稿」と「親近感を高める投稿」の2軸で、宣伝と関係構築のバランスをとる必要がある
  • SNSキャンペーンは応募獲得で終わらせず、当選後のフォローや傾聴のステップまで設計してこそファン化につながる
  • 属人化した運用のクセを定期的にセルフチェックすることが、成果を「再現可能」にする土台になる

投稿設計・キャンペーン設計・ファン育成の実践フレームワークとセルフチェックシートを
資料としてご用意しています。

1. 調査データから見える「成果の壁」の正体

SNS運用の現場で「投稿を続けているのに手応えがない」という悩みが多く聞かれる背景には、担当者個人の力量ではなく、構造的な要因があります。

3社に1社以上が抱える「成果の壁」

NAVICUSが2026年2月に公表した消費財メーカーのSNS運用に関する調査では、「期待したほどの成果を挙げられていない」(30.8%)「全く成果を挙げられていない」(4.5%)を合わせて、35.3%の企業が成果不足を感じているという結果が出ています(n=224)[注1]。つまり、3社に1社以上が、SNS運用に手応えを感じられていないのが実態です。

この「成果の壁」の多くは、投稿を「発信する」ことにとどまり、フォロワーとの「関係を育てる」設計まで踏み込めていないことに起因します。新商品情報やキャンペーン告知を定期的に発信していても、それが一方通行の宣伝で終わっていれば、フォロワーにとっては「有益な情報源」にはなり得ても、「応援したい対象」にはなりにくいのです。

継続購買ユーザーの3人に1人が示す「希望」

一方で、ブランドとの親密度が継続購買に与える影響に関する調査(2026年2月)では、継続購買ユーザーの約3人に1人(30.1%)が、ブランドの公式SNSをすでにフォローしているという結果が出ています[注2]。これは、ロイヤルユーザーほど、ブランドとの接点を積極的に持ちたいと考えている、ということを示しています。

調査データが示す「成果の壁」と「ファンの実態」
3社に1社以上が成果不足を感じる一方、継続購買ユーザーの約3人に1人はすでに公式SNSをフォローしている(出典:NAVICUS調査・2026年2月)

この2つのデータを重ねると、見えてくる構図はシンプルです。SNSは「成果が出にくい施策」ではなく、「フォローしてくれる土台はすでにあるのに、活かしきれていない資産」だということです。課題は投稿の量ではなく、フォローしてくれた人たちに向けた「投稿の設計」と「キャンペーンの設計」にあります。

2. 分岐点①:「期待感」と「親近感」——投稿設計の黄金比

継続購買ユーザーが公式SNSをフォローし続ける動機には、明確な共通点があります。成果を出している企業は、日々の発信のなかに、ユーザーの心を動かす「期待感」と「親近感」という2つの感情を、確実に組み込んでいます。

期待感を高める投稿とは

期待感を高める投稿は、フォロワーの「買いたい」「知りたい」という気持ちを喚起するコンテンツです。新商品や限定情報の先行公開、活用シーンの提案、季節に合わせた訴求、クーポンや特典の告知などが該当します。「次は何を発信してくれるんだろう」というワクワク感を継続的に提供できているかどうかが、期待感の醸成を左右します。

親近感を高める投稿とは

一方、親近感を高める投稿は、ブランドを「人格を持った存在」として感じてもらうためのコンテンツです。スタッフの顔出しコンテンツや製造現場の裏側、フォロワーへの感謝やコメントへの返信、Q&Aやアンケートの活用などが該当します。生成AIが自動生成したような無機質な定型文ではなく、開発者の想いや社員の素顔といった「人間味」を見せることが、ブランドへの愛着を育てます。

「期待感」と「親近感」の2軸による投稿設計
フォロー継続には「期待感を高める投稿」と「親近感を高める投稿」の2軸が必要。投稿比率の目安はそれぞれ40〜50%

投稿比率の目安としては、期待感・親近感それぞれ40〜50%程度が推奨されます。商品紹介やキャンペーン告知(宣伝)ばかりに偏ったアカウントは、「期待感」も「親近感」も生み出せず、離脱の原因になります。両方をバランスよく設計することが、フォロー継続の鍵です。

投稿設計・キャンペーン設計・ファン育成の実践フレームワークとセルフチェックシートを
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3. 分岐点②:単発で終わらせない、ファン育成型キャンペーンの設計

フォロワーを一気に増やすための「SNSキャンペーン」の捉え方にも、大きな分岐点が存在します。

成果が出ない企業のパターン(バラマキ型)

「フォロー&リポスト」による拡散数や、一時的なフォロワー数だけを追いかけてしまうパターンです。応募のハードルが低い分、応募者にとっての体験は「懸賞に応募した」というだけで完結してしまいます。その結果、キャンペーン終了後に大量の懸賞アカウントだけが残り、エンゲージメントが急落します。

成果を出す企業のパターン(ファン育成型)

キャンペーンを単なる認知拡大の手段ではなく、ブランドとの最初の「接点」として設計しているパターンです。当選後のDMでの丁寧なコミュニケーションや、参加者の感想投稿をモニタリングして「傾聴」するステップを必ず組み込み、離脱を防いでいます。体験した感動をクチコミとして自発的に発信してもらうためには、当選連絡そのものを「作業」として処理せず、ブランドの世界観を伝える接点として扱う姿勢が求められます。

ファン育成型キャンペーンの5ステップ
キャンペーン設計から当選者DM・傾聴・継続施策・クチコミ拡散まで、応募獲得後を含めた5ステップで設計する

実務フローの具体的な設計例(コメント参加の促し方、DMの文面設計、UGCの二次活用の仕組みなど)については、資料内で詳しく解説しています。

4. 自社アカウントの現状を知る「運用分岐点」セルフチェック

投稿設計・キャンペーン設計をどれだけ整えても、日々の運用が担当者の感覚に依存したままでは、成果は再現されません。特に大企業や自治体のSNS運用では、担当者の異動・退職によって運用の「型」が引き継がれず、品質がリセットされてしまうケースも少なくありません。

貴社のアカウントが、成果の出る軌道に乗っているか。以下の問いを、まずはご自身に向けて確認してみてください。

☐ 【傾聴】直近1ヶ月で、ユーザーからのコメントやリプライに、定型文ではない「人間の言葉での返信」を行いましたか?

☐ 【投稿設計】直近の10投稿のうち、宣伝ではない「ユーザーが保存したくなる役立つコンテンツ」はいくつありますか?

☐ 【評価指標】毎月の効果測定で、フォロワー数だけでなく「保存数」や「DM共有数」など、深いエンゲージメントを追えていますか?

☐ 【定着率】キャンペーン実施後、獲得したフォロワーがどれくらい自社のアカウントに定着(アクティブ化)したかを追跡していますか?

これらはあくまで一部の設問です。投稿設計・キャンペーン設計・ファン育成の観点を網羅したセルフチェックシートの全項目は、資料にまとめています。チェック後は所属チームで共有し、未対応項目の改善優先順位を検討することをおすすめします。

投稿設計・キャンペーン設計・ファン育成の実践フレームワークとセルフチェックシートを
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5. 結び:SNS運用は「数」から「熱量」の時代へ

コンテンツが溢れかえる時代だからこそ、ユーザーは「完璧な広告」よりも「血の通った誠実な対話」に動かされます。フォロワー数やインプレッションといった数字を追うことは、施策の効果を測るうえで重要です。しかし、それを追い求めるだけでは、フォロワーをファンへ育てることはできません。

フォロワーとの丁寧なコミュニケーションを積み重ねることこそが、長期的なファン育成、そして売上貢献につながります。投稿設計・キャンペーン設計・日々の運用、この3つを一貫した視点で見直すことが、「成果の出ない3割」から抜け出す第一歩です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「期待感」と「親近感」の投稿は、具体的にどう配分すればいいですか?

目安として、それぞれ40〜50%程度のバランスで設計することをおすすめしています。ただし、業種やアカウントのフェーズ(立ち上げ期か成熟期か)によって最適な比率は変わりますので、まずは現在の投稿を分類し、どちらかに偏っていないかを確認することが第一歩になります。

Q2. キャンペーンで「フォロー&リポスト」だけでは、なぜ不十分なのですか?

「フォロー&リポスト」は応募のハードルが低い分、応募者との関係が「応募した瞬間」で終わってしまいやすいためです。コメントや投稿シェアなど、より深い接点を促す設計にし、当選後のDMや傾聴ステップまで組み込むことで、キャンペーンを一度きりの獲得施策ではなく、ファン化のきっかけとして機能させることができます。

Q3. 社内でSNS運用の型がバラバラな場合、どこから見直すべきですか?

まずは、共通のチェック基準を使って、チーム全体で現状を可視化することをおすすめします。個人の感覚に依存した運用のままでは、担当者が変わるたびに品質がばらついてしまいます。資料内のセルフチェックシートは、こうした認識合わせの出発点として活用いただけます。

Q4. NAVICUSに相談すると、どのような支援を受けられますか?

SNS戦略の策定から、投稿設計・キャンペーン設計・運用代行まで、一貫してご支援しています。現状のアカウント診断や、支援内容をまとめた資料のご請求も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

最後に

SNS運用で継続的に成果を出すには、投稿の「量」を増やすことよりも、「期待感」と「親近感」のバランス、キャンペーンの設計、そして日々の運用姿勢を見直すことが重要です。「成果の出ない3割」に留まるか、そこから抜け出せるかは、この設計の差にかかっています。

本コラムでご紹介した投稿設計の考え方やキャンペーン設計の視点、そして自社アカウントの現状を振り返るための詳細なセルフチェックシートをまとめた資料を、以下より無料でダウンロードいただけます。社内勉強会や、今後のSNS戦略の骨子づくりにぜひご活用ください。

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調査出典

[注1]株式会社NAVICUS「消費財メーカーのSNS運用に関する調査」(2026年2月17日公表/調査期間:2026年1月19〜21日/調査対象:消費財メーカーのマーケティング部門最終責任者〈20〜50代の男女〉/有効回答:241名〈うちSNS運用企業 n=224〉/モニター提供元:RCリサーチデータ) URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000049797.html

[注2]株式会社NAVICUS「ブランドとの親密度が継続購買に与える影響に関する調査」(2026年2月公表/調査期間:2026年1月30日〜2月2日/特定ブランドの製品を1年以上買い続けている人〈20代~60代の男女〉/有効回答:339名/モニター提供元:RCリサーチデータ) URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000134.000049797.html

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