社内で何気なく撮影した数秒の動画に、顧客情報や社内資料が映り込んでしまう。こうした事態は、特別な悪意がなくても起こり得ます。実際にBeRealでは、行員が投稿した動画に顧客情報や営業目標が映り込んで拡散した事例や、教員が職員会議用の資料が映った画面を撮影・投稿し、学校名や同僚名が流出した事例が報じられています(※1)。

こうしたリスクは、新しいSNSが登場するたびに形を変えて現れます。2026年に入ってからは、Z世代を中心に韓国発のSNSアプリ「setlog(セットログ)」の利用が広がっていると報じられています。さらにsetlogは、短期間のうちに機能の追加や仕様変更がおこなわれており、企業側も個別のアプリの使い方だけではなく、SNS利用に共通するリスクを捉えることが重要になっています。

本コラムでは、setlogがどのようなアプリなのかを最新の仕様や報道をもとに整理したうえで、私的なSNS利用が企業リスクに転じる構造と、企業が取り得る対応をご紹介します。

  • 韓国発のSNS「setlog」は、短い動画を友人同士で共有し、日常を記録できるSNSとしてZ世代を中心に利用を広げている
  • 先行する「BeReal」では、私的なSNS利用が原因で顧客情報や社内情報が流出した事例が報じられている
  • setlogは短期間で機能追加や仕様変更がおこなわれており、SNSの使われ方は変化し続けている
  • 企業に求められるのは、特定のアプリ名や仕様にとらわれず、情報漏えいにつながる「構造」を理解するためのリテラシー教育である

韓国発のSNS「setlog」がZ世代を中心に利用拡大

Impress Watchの2026年6月の報道によると、韓国発のSNSアプリ「setlog(セットログ)」が、Z世代を中心に利用を広げています。米ニューヨークと韓国・ソウルに拠点を置くスタートアップが開発したアプリで、2025年12月に韓国でiOS版がリリースされたのち現地で人気となり、日本語への対応によって日本国内でも利用が広がったとされています。

setlogの特徴のひとつが、友人同士で短い動画を撮影・共有し、日常の出来事を記録できることです。撮影した動画は「Log(ログ)」と呼ばれ、その日のLogは1本の動画としてまとめられます。

サービスが注目を集め始めた当初は、1時間ごとの通知をきっかけに約2秒の動画を撮影する仕組みが特徴でした。しかし、2026年7月のアップデート(iOS版)で「1時間に1回」という時間制限が撤廃され、時間制限なしでLogを共有できるようになっています。あわせて、最大20人までのグループに対応し、縦向き・横向きのどちらでも撮影できるようになりました(※2)。

さらに2026年6月には、写真を使って友人とやり取りできる「Zip(ジップ)」機能も追加されています。1日を記録するLogに対して、Zipは「今この瞬間」を写真で伝える機能とされており、setlogは短期間のうちにも機能の追加や仕様変更を重ねているSNSだといえます。

BeRealとsetlogの主な違い

setlogは、先行して話題となったBeRealと同様、親しい友人との日常共有を重視したSNSです。一方で、現在のsetlogは時間制限なしでLogを共有できるなど、サービス開始当初から仕様が変化しています。

項目BeRealsetlog
主な投稿写真短い動画を中心とした「Log」、写真を使う「Zip」
撮影・投稿のきっかけ通知をきっかけに撮影・投稿当初は1時間ごとの通知。現在は時間制限なしでLogを共有可能
1日の記録投稿単位で共有その日のLogが1本の動画としてまとめられる
主な共有範囲友人など最大20人までのグループ

※上記は2026年8月28日時点で確認できる情報をもとにNAVICUSが作成しています。仕様はOSやバージョンによって異なる場合があります。

注目したいのは、こうしたSNSの仕様自体が短期間で変わる可能性があることです。

setlogでも、サービスの特徴のひとつだった「1時間に1回」という時間制限が、2026年7月のアップデートで撤廃されました。新しい機能が追加されたり、投稿方法や共有範囲が変わったりすれば、それに伴って利用方法も変化します。

企業がSNSリスクを考える際には、「setlogでは何ができるのか」という個別の仕様だけを追うのではなく、私的なSNS利用がなぜ情報漏えいなどの企業リスクにつながるのかを理解することが重要です。

なぜ「私的なSNS利用」が企業リスクになるのか

NAVICUSでは、企業のSNS担当者・マーケティング担当者の皆さまを支援する立場から、私的なSNS利用と企業リスクの接点には、次の3つの構造があると考えています。

① 「友達だけ」という安心感が生む心理的な油断

setlogやBeRealのように、親しい友人とのコミュニケーションを前提としたSNSでは、「不特定多数に公開しているわけではない」という安心感が生まれやすくなります。

しかし、公開範囲が限定されていても、職場で撮影した写真や動画に顧客情報、社内資料、PC画面、社員の顔などが映り込めば、情報漏えいにつながる可能性があります。

また、一度共有した情報が、共有相手による保存や別の場所への転載などによって、意図した範囲を超えて広がる可能性もあります。

「友達だけに見せているから大丈夫」という意識と、企業が管理すべき情報との間にギャップが生じることが、リスクのひとつです。

② 日常的な撮影習慣による「映り込み」

SNSを日常的に利用していると、「面白い」「共有したい」と感じた瞬間にスマートフォンを取り出し、写真や動画を撮影することが習慣になります。

問題となるのは、撮影の対象そのものではなく、その背景です。

例えば、デスクで撮影した動画の後ろに顧客情報が記載された資料が置かれていたり、PCのモニターに社外秘の情報が表示されていたりする可能性があります。店舗であれば、来店客やバックヤード、伝票などが意図せず映り込むことも考えられます。

本人に情報を流出させる意図がなくても、数秒の撮影が企業の情報管理上の問題につながる可能性があります。

③ 学生時代の利用習慣が職場でも続いてしまうこと

学生時代から日常的にSNSを利用している場合、「友人に今の状況を共有する」「その場で撮影する」といった行動が習慣化していることがあります。

その習慣が、就職したことをきっかけに自然となくなるとは限りません。

学生生活では問題にならなかった撮影でも、オフィスや店舗、取引先などでは、顧客情報や機密情報、個人情報が映り込む可能性があります。

これは単に個人の注意力の問題として捉えるのではなく、プライベートで身についたSNSの利用習慣を、職場という環境に合わせて切り替える必要があるという問題だとNAVICUSは考えています。

これら3つは、setlogに限った話ではありません。

新しいSNSが登場したり、既存SNSの仕様が変わったりしても、「身近な相手とのコミュニケーションだから油断する」「日常的な撮影で情報が映り込む」「プライベートの利用習慣を職場にも持ち込む」といった構造は共通して起こり得ます。

企業が取り得る3つの対応

① 特定のアプリ名に依存しないリテラシー教育

「setlogは禁止」「BeRealは禁止」といったように、アプリごとに禁止事項を整備する方法だけでは、新しいSNSが登場するたびに対応が後手に回ってしまいます。

さらに、SNSはサービス開始後も仕様が変わります。実際にsetlogでも、当初の特徴だった「1時間に1回」という時間制限がアップデートで撤廃され、「Zip」という新たな機能も追加されています。

重要なのは、特定の機能を覚えることではなく、「なぜ職場での私的な撮影がリスクになるのか」「限定された相手への共有でも、なぜ情報漏えいにつながる可能性があるのか」といった構造そのものを理解してもらうことです。

構造を理解していれば、次に新しいSNSが流行した場合にも、社員自身がリスクを考えながら行動できるようになります。

② 入社のタイミングを意識の切り替え点にする

学生時代のSNS利用と、社会人になってからのSNS利用では、同じ行動でも生じるリスクが異なります。そこで、新卒社員や若手社員に対しては、入社時の研修を意識の切り替え点として活用することが有効だと考えられます。

研修を設計する際は、次の3点を押さえておくと、受講者が自分ごととして受け止めやすくなります。

  • 禁止事項を並べるのではなく、「学生時代には問題にならなかったSNSの使い方が、職場ではどのような問題につながるのか」を対比で示す
  • 実際に起きた情報漏えいの事例を取り上げ、「なぜ問題になったのか」を構造から説明する
  • オフィス・店舗・訪問先など、受講者が実際に働く場面に即したシーンで考えてもらう

もちろん、SNSリスクへの理解が必要なのは新卒・若手社員だけではありません。SNSやその使われ方は変化し続けるため、中途入社の社員や管理職を含め、組織全体で定期的にリテラシーをアップデートしていくことも重要です。

③ 「社内では私的な撮影をしない」など、シンプルな原則を定める

新しいSNSが登場するたびに細かな禁止事項を追加していくと、ルールが複雑になり、社員がすべてを覚えることが難しくなります。

例えば、「オフィス・店舗・会議の場では、私的なSNS投稿のための撮影をしない」「顧客情報や社内資料、PC画面が映る環境では撮影しない」といった、SNSの種類を問わず適用できるシンプルな行動原則を定める方法があります。

ルールを設けるだけでなく、「なぜそのルールが必要なのか」を事例とともに伝えることで、社員自身が判断できる状態をつくることが重要です。

なお、本コラムは特定のSNSや企業、個人を批判する趣旨のものではありません。報じられた事例を「自社にも起こり得ること」として捉え、未然に備えるための材料としてお読みいただければ幸いです。

NAVICUSのSNSリスク対策支援について

NAVICUSは、SNSを主軸とした戦略策定、SNS運用、キャンペーン設計、内製化支援など、企業や地方自治体のSNS活用を幅広く支援しています。

SNSを安全に活用するためには、公式アカウントの運用ルールだけでなく、社員一人ひとりがSNSの特徴や情報拡散の仕組みを理解することも重要です。

NAVICUSでは、SNS運用の現場で培ってきた知見をもとに、炎上事例やクチコミの拡散構造などを踏まえた、社内向けのSNSリスク対策・啓発についてのご相談も承っています。社内のSNS利用ルールを見直したい、若手社員へのリテラシー教育を検討したいというご担当者さまは、お気軽にご相談ください。

setlogをはじめ、新しいSNSやコミュニケーションサービスは次々と登場しています。また、同じSNSでも、アップデートによって機能や使われ方が短期間で変化することがあります。そのため企業のSNSリスク対策では、個別のアプリを追いかけて「このSNSは禁止」「この機能に注意」と伝えるだけでは十分とはいえません。

大切なのは、

  • 限られた相手への共有でも情報が外部へ広がる可能性がある
  • 写真や動画には意図しない情報が映り込む可能性がある
  • プライベートでのSNS利用習慣が、職場では企業リスクにつながる場合がある

といった、SNSに共通する構造を社員一人ひとりが理解することです。

SNSの仕様が変わっても、新しいサービスが登場しても、「この状況で撮影・投稿して問題ないか」を社員自身が判断できる状態をつくることが、企業のSNSリスク対策につながります。

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SNSリスク対策や社内向けの啓発について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

参考情報

※本コラムは2026年8月28日時点で確認できる情報に基づいています。各サービスの仕様や利用状況は変更される可能性があります。

本コラムの執筆にあたり、以下の報道・記事を参考にしています。

  • ※1:「企業が警戒すべき『若手社員のアプリ』はBeRealだけでない……『1時間ごとの私』を記録し続ける韓国発SNSの名前」PRESIDENT Online(2026年6月、高橋暁子氏執筆)
  • ※2:setlog App Store掲載情報・バージョン履歴(2026年8月28日確認)
  • 「BeRealの二番手『setlog』が大人気 止まらない『クローズドSNS』への流れ」Impress Watch(2026年6月)
  • 「BeRealの次はこれ。K-POPスターが火をつけた、Z世代の人気アプリ『Setlog(セットログ)』とは?」Business Insider Japan(2026年6月)

よくある質問

Q. setlogは危険なアプリなのでしょうか?

A. setlogそのものを一律に危険なアプリと捉える必要はありません。一方で、職場や店舗、取引先などで撮影した写真・動画に社内情報や顧客情報が意図せず映り込めば、情報漏えいにつながる可能性があります。アプリそのものを問題視するのではなく、職場における私的な撮影・投稿にどのようなリスクがあるのかを社員へ周知することが現実的な対応だと考えられます。

Q. setlogとBeRealでは、企業リスクにどのような共通点がありますか?

A. どちらも親しい友人との日常的なコミュニケーションに利用されるSNSです。「限られた相手にだけ共有している」という安心感から警戒心が低くなり、職場で撮影した写真や動画に社内情報や顧客情報が映り込む可能性があります。重要なのはサービスごとの違いだけではなく、「私的なSNS利用のために職場で撮影すること」自体にリスクがあると理解することです。

Q. 企業はsetlogの利用を禁止したほうがよいのでしょうか?

A. 一律の禁止が最善とは限りません。新しいSNSは次々に登場するうえ、既存のSNSもアップデートによって仕様が変化します。特定のアプリだけを禁止しても、本質的な対策になりにくい場合があります。「社内では私的なSNS投稿のための撮影をしない」「顧客情報や社内資料を映さない」といった行動原則を定めたうえで、SNSの仕組みやリスクを理解するための教育を組み合わせることが重要だと考えられます。

Q. SNSリスクの教育は、新卒社員だけを対象にすれば十分ですか?

A. 新卒・若手社員は、学生時代のSNS利用習慣から社会人としての利用へ意識を切り替えるタイミングにあるため、特に重要な対象のひとつです。一方で、新しいSNSや機能は世代を問わず利用される可能性があります。また、SNSの仕様や使われ方も変化するため、中途入社の社員や管理職を含め、組織全体で定期的にSNSリテラシーをアップデートしていくことが重要です。

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